『波よせて・7インチレコード』を作ったことについて

4月か。
そうか・・。

昨日発表した『波よせて』7インチ・リリース
ジャケットの色合いもなんだか「春」を感じられて気分が良いです。

『波よせて』今7インチで出すにあたっていろんなこと思い出したり、考えたりしている事を「セルフライナーノーツ」としてまとめました。
それをこのブログでも・・。

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「波よせて – waver」セルフライナーノーツ
1997年4月16日。Small Circle of Friendsの2ndアルバム「Platform 5」リリース。

このアルバム制作時、私達はまだ福岡に住んでいました。そんな中にあってレコーディングの大半は東京で行われ、プロデューサー松浦俊夫(ex United Future Organization)松浦さんの元、プリプロダクションを松見坂の”Brownswood Studio”にて。レコーディングは青葉台の”Think Sync Studio”、ミックスダウンは六本木”Magnet Studio”で進行しました。もう今は3箇所とも存在していません。

「Platform5」には、その半年前に先行マキシシングルとしてリリースした『Never Never Land』も収録されていて、『波よせて』に至っては、あくまで “アルバムの中の一曲”として制作されています。しかも「Platform5」のリード曲はPVも制作された『Love Potion No.5』でした。

『波よせて』のトラック制作について。ドラムはE-mu SP1200でサンプルしたものを、Akai MPC60でシーケンス。Kalimbaのループや後半のシンセフレーズはMPC60でサンプリングしています。そこへ当時SCOFのKeyboard&Guitar、及びProgrmming、Arrange担当の冨田さんがストリングスパッド、そしてあのギターループを録音しました。

曲が完成し、松浦さんから「良い曲できたね」と握手を求められ、自分達も満足感に包まれていても、やはりなお『波よせて』は”アルバムの中の一曲”です。

そして、1997年春。「Platform 5」はリリースされることになります。CDと同時にレコード2枚組で発売しました。

アルバムリリース当初はちょっとだけ気分が悪かった記憶…。好きだった雑誌のインタヴュアーから酷評されたり、信頼しているオーガナイザーから聴いていると恥ずかしいと言われたり。つまりどちらも「丸くなった。ポップになった。」という意見。

当然、混乱したし、悲しくもなる。私たちは最初から何かを意図することなく、カラダが進むままに作っていたつもりだったから。ただこのことからその後の活動に必要な大事な事を知りました。

「他人の言うことは気にしない」。

「Platform 5」リリース後、ちょうどマーキュリーレーベルとの契約終了が決まっていたせいか、プロモーション自体は緩やかなものでした。大半は福岡に居て今後の事を考える日々。このまま福岡に居るか、それとも東京に引っ越すかとぼんやり。だけども、まあ悩ましい時代です。

そんな最中、周囲から「『波よせて』いい曲だね。」と言われることが多くなりました。当時ラジオ番組を一緒にしていたディレクターから「ついにすごい曲作っちゃいましたね」と言われ、アズマはたまに店番していたレコード店店主から「スタンダードだよね」と言われ、参加していたパーティーの他のDJ達から「あれ俺のことっすか?」と言われる。サツキも同様のこと…。

レコードもリリースしていたから、クラブで良く掛かっているよ、という話も聞くようになりました。でもスモールサークルオブフレンズの事はあまり知らないけれど、『波よせて』だけは知ってる、という人が案外たくさんいたように覚えています。

はじめて会った人から「あの曲どうやって作ったんですか?」と尋ねられたり。

そして「ある映画」の導入曲としても使用されたり。

何人かの人たちがライヴでカバーをして歌っている事を知り。そのいくつかのライヴを実際見たり、何バンドかのミュージシャンがカバーをし、リリースもされています。

そのあいだ、私たちはずっと不思議な気分でした。
自分たちでは、その曲だけを特別にアピールしているわけでもないのに、聴いた人たちはそれぞれに「大事な曲」としていろんな想いをこの『波よせて』に持っている。たまにそんな「想い」に圧倒される時もあるのです。

ただライヴで歌っていると「いい曲だなコレ」と、しみじみ感じる事はあります。

「波よせて」の20年が経ちました。
そして、『波よせて』に対する、私たち自身からの初めての「アクション」が、「7インチ・レコードをリリースする」。

実際にマスターテープをユニバーサルミュージックから借り、マスタリングを行い、作り直したい、歌い直したい衝動をぐっと抑え、最小限のエディットを施し、EQと音圧をかけます。そしてカッティング工場へ出向きラッカー盤に刻まれていく様子を眺めるのでした。そんな全ての過程で、いろんな事を想い出しています。書いている今も。

いつものように7インチ・レコード『波よせて』のジャケットを新たにサクラダさんに依頼します。デザイナー・サクラダさんとの「問答」も25年続いているけれど、さてどんなジャケットになるのだろうか?楽しみ、そして多少いぢわるな気持ちで待っていたら・・・おお。

”波よせての少年” のスピンオフ・・『カモメに乗りたガール』。

旅はまだ続いています。

Small Circle  of Friends

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