Another Cell, SCOF2022

10月8日に『Another Cell Instrumental』をリリースした。

ボーカルを外して聴くと
「これは僕らにとってSCOF2022の音」
とあらためて思う。
『cell』はまさにSCOF2020、SCOF2021の音がしているし
ボーカルだって2020、2021の声だ。
だからそのボーカルを外すとなるとそこには「SCOF2022」が残る。
どこらへんが「2022」かというと
「音の抜け具合」「とあるシンセ」「とあるエフェクター」。
簡単に言えばそんなところだ。

ここでプレスキット用『Another Cell』覚書を今一度。

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2021年12月1日。
Small Circle of Friends 12枚目のアルバム『cell』をリリースしました。

2021年の夏までは、既に完成済みのアルバムを前にして
リリースのタイミング、そして”カタチ”をどうするのか?
決められないまま時間ばかりが過ぎていき
ジリジリとした思いでストレスを感じていました。

そんな焦る気持ちの中
9月末になって
いくつかのアドバイスとひとつの出会いによって
トントンと事が進んでいき
3曲のシングルカットを経て
アルバムリリースへと見事に着地。

大きな満足感と共に
音を通していろんな人にコミュニケートできる喜びに浸る。
28年のキャリアにおいてさえ、その事を最も実感できた瞬間でした。

そして年が明け、2022年。
2020年、『cell』のレコーディングをしていた時に思っていた事は
このアルバムがリリースされる頃には
状況が変わって少しでもライヴしたり出来る状況かもな。
そしてこのアルバム上の”言葉の色々”が懐かしい過去のものになってたりして。
と、願いと楽観が綯い交ぜの気持ちでした。

しかし
”状況”は、また別の”状況”へと繋がり
まだまだ終わりは見えてこない。
…。

アルバムの全曲をリミックスするというアイディアは
リリース前からなんとなくありました。
SCOFの作品のなかでも
より曲同士のコンセプトが近く、”ひとまとまり”に物語性を感じるアルバム『cell』。
それを一度ひっくり返して、別の背景に放り込んでみたい。
そんな願望がありました。

ただそこには大きな”労力”と確固たる”意味”が必要な気がして
踏み込むまでにはなかなか至りませんでした。

そうしたときに、ふと思い立ち『seasons change』のリミックスを作りはじめました。
それは”作る”というより”探る”と言った方近いかもしれません。
声だけを残して、後はオフにして
その状態で延々と聴き続け
それに合わせてキーボードでコードを探ったり
日頃から作り貯めているモチーフやループの断片をあててみたり。
あまり深く考えず
赴くままに作業をしていくと
いつのまにか、体感でいえば”あっという間”に
『seasons change』のリミックスが出来上がっていました。

そして、たしかに『seasons change』ではあるけれど
オリジナルとは違う感触を持った曲。
リミックスというより
もっとなにか別の次元に存在する
『もうひとつのseasons change』。
この結果に
わたしたちはちょっとだけ戸惑い
また、大いに興奮しました。

この感じで『cell』全曲を作り変えていこう。
当初予想していた”労力”は”興味”に代わり
今まで以上に集中して取り掛かっていく。
1日に1,2曲のペースで作り進めて
ほぼ1週間でアルバム1枚分が完成。
完成した瞬間、とても不思議な気分に浸っていました。
「どっちが”元”だっけ?」
一瞬迷うほどに聴き馴染んでいたのです。

わたしたちが今まで思っていたところの”remix”とは
また違う何か。
オリジナルの『cell』に対して”もうひとつの”『cell』。
『Another Cell』。

2022年、リリースです。

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…長い。
これがリリース前、ちょうどアルバムが完成したところで書いたものです。
今は『Another Cell』に関してはもうちょっと違う感想があるのですが
それはまたおいおい。